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実習の質を向上させる歯科シミュレーターの選び方

2025年8月7日 by Posted in: 歯科機器

歯科シミュレーターとは?
歯科シミュレーターとは、歯科医療技術の実習・訓練を行うための装置で、学生や研修医が安全かつ現実的に診療手技や判断力を磨くことを目的としています。特に、近年はVR(バーチャルリアリティ)型やフィジカルファントム型など、リアルな再現性を重視した製品が増えています。

■ シミュレーター選定時のチェックポイント
✅ 1. 目的別のトレーニング対応力
トレーニング内容 推奨シミュレーターのタイプ
歯の形成・支台歯形成 実歯形状ファントムモデル付きフィジカルシミュレーター
根管治療・歯内療法 透明模型またはX線対応シミュレーター
外科手技(抜歯など) 実体型+感触フィードバックありの高耐久タイプ
カリエス診断や探針検査 タッチセンサー・色変化機能付きモデル
チーム医療・診療フロー訓練 VRシミュレーターまたはモニター付き複数連動型

選定の第一歩は、何を「教えたいのか/練習させたいのか」を明確にすることです。

 

✅ 2. リアリティとフィードバック性能
咬合感や切削感の再現性:天然歯に近い材質かどうか

フィードバックの種類:VRでは自動採点機能・ミス警告機能の有無

視認性の工夫:照明、鏡面反射、モニター投影など、指導者側の評価がしやすい構造

✅ 3. 操作性・学習環境との親和性
ハンドピースやチェアとの互換性:既存設備と接続できるか

可動範囲:上下顎の開閉・頭部傾斜などが可能で、実診療に近い姿勢が再現できるか

感染対策対応:部品の洗浄・交換がしやすい構造

✅ 4. 教育効果の可視化と評価支援機能
スコアリング機能:誤差量の数値評価、履歴保存など

記録出力:学生ごとの成績管理、トレーサビリティ対応

オンライン対応:遠隔での指導・実習評価が可能なシステム(特に近年は重要)

■ 製品別の特徴比較(例)
シミュレーター名 主な特徴 用途
KaVo PHANTOM 実体感に優れ、臨床用チェアにも接続可 支台歯形成、スケーリング
Virteasy Dental(VR) 自動採点機能、仮想診療空間の再現 総合的な診療体験シミュレーション
Nissin DENTAL MODELS 低コストで消耗品交換可、科目ごとにモデルあり 保険診療や基礎科目向け
MOOG Simodont 精密な触覚フィードバック、リアルタイム評価 難症例訓練、高難度形成練習

 

■ 導入時の注意点とアドバイス
コストと消耗品ランニングコストのバランス

教員の指導環境(モニタリングや記録確認のしやすさ)

設置スペースと電源/通信環境の整備

トラブル対応・サポート体制(国内代理店の有無)

■ まとめ
歯科シミュレーターは、ただの模型や練習台ではなく、教育効果を可視化し、失敗の経験を安全に積める教育インフラです。その選定においては、教育目的・操作性・評価機能・導入環境を多角的に考慮する必要があります。

適切なシミュレーターの導入は、学生や研修医の臨床力を飛躍的に向上させるカギとなるでしょう。