可搬式歯科用ユニットとは?
可搬式歯科用ユニットとは、通常の歯科診療ユニット(チェアユニット)を小型・軽量化・分離構造にし、院外でも歯科診療が行えるようにした移動式診療装置です。
訪問歯科診療、在宅ケア、離島・僻地医療、災害現場、介護施設などで、持ち運び・設置・撤去が簡単にできることを目的としています。
可搬式歯科用ユニットの基本構成
可搬式ユニットは、診療に必要な最低限の機能をコンパクトに集約しています。以下が主な構成要素です:
1. コンプレッサー(エア供給ユニット)
モーターで空気を圧縮し、タービンやスリーウェイシリンジなどに必要なエアを供給
小型・静音設計のオイルレスコンプレッサーが一般的
一体型または別ユニットとして分離していることもあり
圧力設定・ドレン排水・エアフィルターなどが内蔵されている場合もあります。
2. バキュームポンプ(吸引装置)
唾液や切削片などを吸引するバキュームホース/サクション装置
コンプレッサーと一体の乾式バキュームか、小型の電動吸引機が多い
自動排水タンクや逆流防止弁を備えている機種もあります
3. タービンおよびマイクロモーター接続ポート
エアタービンや電動モーター(エンジン)を接続するためのチューブを装備
スピード調整・水エア切替スイッチがついている
ISOカプラー(クイックジョイント)対応で市販機器が使用可能
4. スリーウェイシリンジ(3wayシリンジ)
水・エア・スプレーが使える基本ツール
脱着式チップで衛生管理にも配慮
5. 排水・給水タンク
外部水源が使えない現場に対応するための独立型給水ボトル(1〜2L)
使用済みの水・唾液を貯める排水タンク(約2〜5L)が装備されている
6. 電源装置・操作パネル
コンセント(AC100V)に接続して使用。インバーターや保護回路内蔵
操作部には電源スイッチ、圧力ゲージ、流量・回転数調整ツマミが搭載
一部機種はバッテリー内蔵(DC駆動)で電源が取れない環境にも対応
7. 収納ケース/キャスター/持ち運び構造
各機器がキャリーバッグ型ケースやアルミトランクに収納され、分解・組立が容易
本体重量は20~30kg前後が一般的で、キャスター付きで移動もスムーズ
補助機能(モデルによって異なる)
LEDオペライトまたは口腔内照明付き
超音波スケーラー接続端子
スツールや可搬チェア(別売オプション)
除菌フィルター、防音ケース付きモデル
まとめ
可搬式歯科用ユニットは、コンパクトでありながら診療に最低限必要な「圧縮空気」「吸引」「水・電源」機能を一体化しており、院外でも効率的な診療が行える優れた装置です。